縄張りで分かる"心理"
イギリスのある町で行われた飼い猫の行動追跡調査。
GPS発信機付きカメラでネコの行き先をを詳しく調べました。
パッチという13歳の雌ネコで調査をしました。
人間でいうとおばあさんですがまだまだ活発に外を歩きます。
「仲間と秘密の集会でも開いてるんじゃないかしら?」
自然界では縄張りを歩いて自分の臭いを残す事が欠かせません。
食料を確保し子孫を残すための重要な行動です。
十分な食料と安全な住み家を与えられた飼い猫も縄張りに対する意識を本能的に持っています。
パッチの縄張りは自宅の裏口から最長90メートルほどの小さな一帯であることが分かりました。
パッチは臭い付けをしたり引っかいたりして、ここが自分の縄張りであることを主張します。
他のネコの結果も重ねると付近のネコの勢力図が出来上がります。
どのネコの縄張りも飼われている家が中心です。
最も驚きの結果を示したのは長い葉っぱを持ち帰るオスのマイロでした。
マイロが世界制覇を狙っています。
マイロの縄張りは大通りをいくつかまたぎ家40件分の広大なものでした。
雌のパッチの縄張りと比べると20倍もの広さがありました。
左:マイロの縄張り 右:パッチの縄張り
標準的な縄張りと比べてマイロの縄張りは広大です。
これはある意味ストレスを感じているせいなんです。
個体数が多いことによって生じるストレスです。
付近に猫が多いと遠くまで行ってストレスを解消しようとするんです。
「一人になるため?」
「ええ、ネコ同士の緊張からしばらく逃れたいと思うんでしょうね」
孤独を愛するマイロは途中で出くわしたネコに
「向こうへ行け」
と主張し、それでも動かない猫には実力で追っ払っていました。
ネコ科の野生動物のオスはできるだけ多くのメスと交尾しようとします。
飼い猫も同じで時に争いになります。
縄張りの広さに関係なくネコの城は飼い主の家。
ここを守ることが一番重要です。
しかし、もし家の中に複数のネコがいたら?
この家では2匹の雄ネコが常に交戦状態にあります。
相手より優位に立とうとして常に競い合っています。
家が狭いため2匹が顔を合わさずにいることは困難です。
多くの家はネコの縄張り意識に配慮していません。
飼い猫同士がうまくいっていない場合、水飲み場やエサ置き場、トイレの場所などで縄張り意識が表面化し争い
になりがちです。
よく起きるのは部屋の中で一番高い場所の取り合いです。
高い場所を陣取ったネコは他のネコより強い立場になれます。
相手に上から跳びかかることができますし、より遠くまで見渡すこともできます。
相手を見下ろし自分の方が優勢だと主張するんです。
相手より有利な陣地を得ることが必勝の戦略。
一方、群れで生きることを余儀なくされた猫もいます。
たくましい野良ネコ
イエネコでも人に飼われていないネコがいます。
野良ネコです。ローマには30万匹の野良ネコがいると言われます。
限られた面積に密集していると、常に居場所をめぐる小競り合いが起きます。
完全な野生でもなく、人に慣らされてもいない野良ネコは二重性を持つ動物です。
人が住む社会の片隅に独自のやり方で縄びりを築いています。
およそ1万年前、野生のネコの一部は、人間と共に生きる道を選びました。
しかし、野良ネコは少し違う生き方をしています。
「人に飼われていたネコでも必要に迫られれば野生を取り戻します。
すぐに野良ネコとして生きていけるようになるんです。これはネコ独特の能力ですね。」
野良ネコの祖先は何らかの事情で人のそばを離れた元飼いネコなのでしょう。
野良ネコの行動は数千年前人間社会の周辺にいたネコを彷彿とさせます。
ある場所で定期的に野良ネコにエサをあげる女性がいます。
ネコの方もエサの時間をよく心得ています。
しかし飼い猫とはどこか様子が違います。
野良ネコはエサをもらうときに鳴きません。
飼い猫のように人間との絆を持たないため、鳴き声で訴えかけることをしないのです。
お腹をすかせたほかの捕食動物に感づかれない為にも静かに食べるのが野良ネコのしきたりです。
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